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年間を通した里山くらし体験

さとしさんの体験をもとにした記事です。

旬栽食講座と市民農園貸出


旬栽食講座では、里山での一年の暮らしを楽しみながら体験します。年に全11回です。
資格等が取得できるわけではなく、楽しみたい方が来ています。定年退職された方も若い方もいます。
田・畑を起こすところから、たねを蒔く、育てる、収穫、調理して食べるまでします。
市民農園の講師は地元新盛町の人たちで、長い人は8年くらいやっています。


お米を作る人の中には、買ったコメがおいしくないので、自分で作るという方もいます。1区画で2俵(120kg)収穫でき、できたものは全て持ち帰ることができますよ。
苗の注文、機械の貸し出し、収穫したお米の乾燥はわたしたちが手配します。


肥料は有機肥料。基本的に殺虫剤は使わない。農薬も使わない。唯一除草剤は1回だけ使います。
田んぼを作る人には年間計画表を作ってもらっています。
1~2年目はやり方も機械の使い方などもわからないので教えます。3年目からは市民農園で独立です。みなさん自分たちでやっていますよ。わたしたちより2倍以上の時間がかかりますけどね(笑)。


活動をやっていてよかった!


里山くらしの体験をされている方々の姿を見てよかったと思うのは、楽しかったとよろこんで帰ってもらえること。人とのつながり、知り合えたということ。市外の方はリピーターが多いです。


市のセカンドスクール事業で、小学校3~6年生のこどもたちが、すげの里にこどもたちだけで泊まることがあり、わたしたちで受け入れをします。
基本的に食事はこどもたちがやります。
包丁は猫の手で切るんだよとやり方を教えます。わたしたちも勇気がいりますよ。刃物を持たせるのですから。
こどもは目を離すととんでもないことをするので目は絶対に離さないです。


こどもには「えー!?」というような発想がありますが、相手をする時に「ダメ」とは言わず、「それをやるとこういうケガをするよ。」と言います。気をつけてくれます。
見ていると、来た時と帰る時の様子がまるっきり変わります。
帰宅したこどもはセカンドスクールでの話をずっとするそうです。
後日親御さんとこどもさんから合わせて2通アンケートをいただきます。お母さんからの「こどもが変わった。キッチンに見向きもしなかったが、キッチンに来て料理を作りたい、お手伝いすると言ってくれるようになった」という声があったりすると、お世辞半分にしてもうれしいですね。


一番感心したのは、わたしたちのやっていることを地元のこどもたちが見ていて、お手伝いすると言ってくれたこと。平成27年度の課外授業として里山の整備をしてくれました。
ここから県道に出る山道がある。むかし通学路だったところです。そこが荒れているのでわたしたちで整備しますとやってくれた。どこをどんな整備をするかもこどもたちが企画しました。やり方や道具の使い方も教えて下さい、ということで教えました。のこぎりも持って行ってやってみてと指示すると、校長先生なんかうわっという顔をします。でも、こどもたち、のこぎりを使ってやりましたよ。
整備した1週間程後に豊田市内の先生方が視察に来ました。活動報告もこどもたちで全部やっていました。


1~3年生の子はこの辺りの集落にお堂があるので、どこにあってどういうお堂なのか勉強したいので教えて下さいということで、教室へ行き、教壇で説明しました。説明の後、何か質問は?と問いかけたら、みんな手を挙げて質問してきました。質問することをみんなであらかじめ考えてあったようです。順番に一人ずつ質問してくれ、何周かしました。15分くらいで終わると思っていたら1時間くらいかかりましたね。
新盛小学校のこどもたちはみんなたくましく元気がいいですよ。学校に行くとこどもたちがわたしに手を振ってくれます。


里山再生事業のこれから


もっと田舎移住促進のための対策をしたいのですが、なかなか家の空きがないんです。希望者はいっぱいいます。実際に地元で受け入れてもいいよという人は3割です。
田舎での暮らしに、半分は憧れで来ようとする方が多い。
田舎では、集落でお葬式が出ると、全員必ずお香典を持ってお葬式にお悔やみに行きます。
いまでも、雨が降ってきたら洗濯物を近所の人が入れてくれるような関係です。


田舎の文化、習慣。「結」の精神、助け合いですよね。家族のつきあいをしないとちょっと住めないかな。
でも、ご理解をいただいて、この事業がきっかけで実際に移住された方もいます。いい結果だと思います。
おいでん・さんそんセンターのセンター長に「里山のモデルはここですよ」と言われているんです。
正直に言うと、こんなに事業を広げるつもりはありませんでしたが、大きくなりました。
活動が始まって10年になり、耕作放棄8割のうちの8割が再生できました。全講座参加者は、年間1,000人越えです。
やめることができないですね(笑)。


 

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