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もった博士の一番弟子!井藤伸比古さんインタビュー

7月の第3回総会に合わせて開催した、大人向け学習会。みんなで大いに実験を楽しみました。でも、伝えきれなかったことも多かった気がします。そこで、講師を務めていただいた井藤さんへのインタビューを通して、再度『大事なところ』を掘り下げてみました。

先日は、素敵な学習会をありがとうございました。はじめに、学習会で井藤さんがもっとも伝えたかったことを教えてください。
「学び」には、二つの種類があると思う。僕の言葉でいうと、それは「技術」と「科学」。「技術」とは、読み・書き・そろばんのように、くりかえし練習して身につけるもの。「科学」とは、疑問に思う心を出発点にして、自分で考えて、検証して、発見(獲得)していくもの。目的もやり方も違うけれど、どちらも大事。
僕や河合良一さんが担当するときの「もった博士のかがく倶楽部(以下、もった)」は、「科学」を学ぶ。宮本さんや山口さんが担当するときは、主に「技術」を学ぶ。ともに学ぶ楽しさを感じてもらいたいと思ってやっている。
「もった」にかける思いを教えてください。
eco-Tの施設(箱モノ)ができると知ったとき、活用しなきゃ「もったいない」と思った。それで、オープン前の市民参画メンバーに加わった。次に、たくさんのインタープリターのみなさんに出会った。みんな、経歴もいろいろで面白い。一緒にいると勉強になる。人こそ、最大の財産。この人たちと学び合えなきゃ「もったいない」と思った。この「もったいない」が「もった博士」の語源。
「びっくり実験」なら、巷にもいろいろあるが、それらと「もった」とは、ねらいが違う。「もった」は実験しながら、じっくり「科学」を学ぶ場。手軽さを求めない。だから2時間かかるし、参加者が多ければいいとは考えない。eco-Tにしかない、最高の「学びの場」をみんなでつくっていきたい。
今、eco-Tで「もった」をやっていて、メンバーの大人どうしの学び合いが、とても楽しい。常連の子どもたちもレベルが高くて、一緒に学び合えている。
「学ぶことを“面白い”と感じられる人は幸せだなあ」と思う。eco-Tなどを通じて、そういう感性を持った子どもたちを育てたい。
学ぶことの「楽しさ」には、二つの面がある。一つは、学ぶ本人の視野が広がるという、個人的なもの。もう一つは、自分の成果がみんなに広がって、それがうれしいという社会的なもの。
子どもたちに楽しく学んでもらおうと思うなら、レベルを上げればいい。答えがすぐにわかるよりも、考えて、実験して、やっと納得できるもの。それが楽しい。eco-Tは「環境学習」施設。環境の学習は難しい。でも、だからこそ、楽しく学べると思う。
学ぶ場をつくる(=講座を開く)ときに、心がけていることは?
すぐ「答え」を言ったり、説明をしてはダメ。もったいない。教える側も一緒に楽しむのがいい。「あなたはどう思う? なんでそう思うの?」と、みんなに聞きながら。例えば、子どもから「月はどうして欠けるの?」と聞かれたら、どう返すのがいいか、考えてみて欲しい。答え(知識)を教えるのは簡単だけど、「知識は3日の命」。知識じゃない、自分でつかんだものは、一生モノ。
それから、講座の準備や練習には、じっくり時間をかける。どう組み立てたら、楽しく、体系的に進められるか。その上で本番に臨んで、また改善して、次の機会に臨む。
参加者は、10人とか15人くらいがいい。この人数ならコミュニケーションしながら、みんなで一つになって進められる。参加者が多すぎる場合は、事前にプチ先生の養成講座をやるといい。
今後、「もった」でやってみたいことは?
大人向けの社会科、歴史とかをやってみたい。もちろん「科学」なので、イデオロギー争いではなく、事実に基づいた、検証できる内容。例えば、女の子の名前で「○○子」というふうに「子がつく名前」の割合がどう変わってきたかを考えてみる、とか。明治以降ならデータがある。これを通じて、時代の追体験ができるはず。
それから、年間メンバーを募集して、積み重ねていくようなシリーズもやってみたい。現在のように毎回、初参加を想定していると、積み重ねがないのが残念。
もった博士チームのような「学び合いの輪」が生まれるには、どうすればいい?
eco-Tでは、手芸チームやクッキングなど、「学び合いの輪」がたくさん生まれている。ときにはワーキンググループ同士の交流もあると、刺激になっていいかもしれない。
私たちは「技術」の詰め込み教育を受けてきたように思う。
日本の教育は戦後、「技術」の詰め込みでやってきた。先進国に「追いつく」までの高度成長期は、それでうまくいった。現在は、「追いついた後」どうするかという時代。新しいものを生み出すには「科学」が必要。
ひとくちに「技術」といっても、その中には「科学を伴った技術」もある。例えば、プリウスをつくったトヨタ自動車の「技術」には、「科学」が伴っていると思う。私たち「もったチーム」は、そんな「技術」と「科学」とをつなげて、市民・子どもたちに伝承していくことをめざしている。 (会員突撃インタビューチーム:野武審・岩月桂子・小泉達也)

井藤伸比古(いとうのぶひこ)さん
小学校教諭を務める傍ら、2005年ごろから環境学習施設eco-T(エコット)の基本構想づくりに参画、人力発電機の構想をまとめ実現。eco-Tオープン後は、親子向け講座「もった博士のかがく倶楽部」を企画し、メンバーと一緒に毎月1回講座を開催。

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